第1章 ■ひとつになる(R15)
目をまんまるに見開き、頬まで真っ赤にしながら、
ぽつりと、こぼすように言う。
「……私、と結婚したい……」
「え?」
私が驚いて聞き返すと、
ランダルはハッと我に返り、ガバッと上体を起こした。
開かれた腹からは、黒い糸のような繊維がこぼれ落ちそうになっている。
「あ、あぁああっ!!私、なに言ってるんだ……!!
バカ!バカバカバカ!!」
ぐちゃぐちゃの腹を押さえながら、顔を真っ赤にして叫ぶと、
ランダルは震える声で必死に続けた。
「ご、ごめん!!忘れて!!
……お願いだから、今の、聞かなかったことにして!!」
半ば叫びながら、シャツも腹もぐちゃぐちゃのまま、
ランダルは部屋を飛び出していった。
しばらくして、階段の上から、ルーサーの落ち着いた声が聞こえてくる。
「こら、ランダル。ちゃんと服を着なさい。はしたないぞ」
バタバタと逃げていく足音。
その音を聞きながら、私は小さくくすっと笑った。
「……もう少し大人になったら、もう一回聞かせてね」
血と光の匂いの中、
私は、胸にそっと小さな幸せを抱きしめた。
****owari