第1章 ■ひとつになる(R15)
錆びた螺旋階段を降りきった先、
そこには、かすかに腐敗の匂いをまとった静寂が広がっていた。
白かったはずの壁も床も、
今では色を失い、黒ずんだ斑点がところどころに滲んでいる。
古びた排水溝のまわりには、乾ききらない血の跡。
生ぬるい湿気が、ぬめるように肌をなで、
空間全体が、かすかに呼吸しているかのように、じっとりと揺れていた。
そんな中、
ひとつだけ、スポットライトに照らし出された冷たい台。
その上に、カエルのかぶり物をしたランダルが、
腹を大きく開いて、大の字に寝そべっている。
甘やかで、腐りかけた世界。
その中心だけが、奇妙に、ひどくあたたかかった。
「ねえ、、聞いて聞いて。
この前さ、鹿の肝臓、食べたんだ」