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【天は赤い河のほとり】短編集

第4章 ルサファ:01│雨が上がる時


【雨が上がる時】ドリームside
ルサファ:片想い│9(1/3)/9P┃6500文字
ドリノベ様再投稿用変加筆済
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「やはり……きみだったんだな、ドリーム」

床に崩れ落ちて自分の体を抱いて小さくなってるわたしに降る言葉。

「どうしてなにも言わずに帰ったんだ。どうしてなにもなかったように……接するんだ…」

合わせてるように身を屈めたルサファさんがわたしの両肩に手を置いて揺さぶる。

「ドリーム!なにか、なにか言ってくれ…」

こちらを見つめるその真剣な瞳を見ているとたまらなくなって、途端に涙があふれてしまう。


「……………だから……」

「え、」

「ルサファさんが…好きだから…………」

涙声でつぶやいた言葉におどろく彼ににっこりと微笑んで涙を拭った。そして立ち上がり、彼に向かって告げる。

「あのルサファさん。あなたに好きな人がいることは知ってます───ですのであの日の出来事は夢だったことにして下さって構いません」

(それが、わたしができる精一杯の優しさ)

もうこれ以上彼の部屋に彼といるのがとてもじゃないが堪えられなくて、身をひるがえす。

「お、邪魔しました…」

「待ってくれっ」


扉に手を伸ばしたわたしは後ろから引っ張られて体制を崩した───

と思ったら彼の腕の中にいる。

「えっ、あの…や、止めて。離して下さい」

「待ってくれドリーム。手荒なことをしてすまないが、話をさせてほしい」

そのルサファさんの言葉がひどく切実だったので、黙ってうなづく。すると安堵の息と共にゆっくりと腕を解いてくれた。

ゴクリ、と音を立てて息をのみ、わたしの背中に向かって話し出す。

「先日は…酔っていたとは言え、その…」

「止めて下さい。そんな話なら聞きたくないです。わたしは謝罪が欲しいんじゃないっ」

「す、すまない。分かった。…それで、その」

煮え切らない言葉がもどかしい。

(大体にしてあんなに切実にわたしを引き留めた理由はなんなの)
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