第3章 副隊長、飲みましょう
言うたやんと優しく背中を撫でてくれる。
彼の服にしがみつく手が震えている。
結構怖かったらしい。
「ほな…お前ら、僕は凉お持ち帰りするから、あんま遅ならんようにな。」
「へ?」
この男は何を言うのだ。
そんなことを言ったら勘違いされてしまうだろう?
はよ立ちぃと腕を引かれ立ち上がると後ろからお腹に腕を回され引き摺られる。
「え?ちょ…わわっ!?」
「大胆やーん、お持ち帰りされる気満々やった?」
後ろ向きで引き摺られるので怖くて暴れると、副隊長を下敷きにして転んでしまった。
「ちゅーか、ちんこ痛いねんけど。」
「ひっ!?」
彼の股間に座ってしまっている。
急いで退けて正座をして頭を下げる。
「いっ!?うぅ…。」
「あははっ慌てすぎや。ごめん、僕が足立ててもうたからやな。」
彼がちょうど立てた膝が額にぶつかってしまった。
前髪を寄せて覗き込んでくると、赤なってもうたなと軽く額を撫でてから立ち上がる。
手を引かれて店を出て、見覚えのある道を進んでいく。
「あ、あの…。」
「るさい。」
え?うるさいって言われた?
そのまま黙って大人しくついていくと、やはり連れて来られたのは彼の家だった。
この前は中には入らずにマンションの外で待っていたので、お邪魔するのは初めてだ。