第15章 副隊長、基地が大変です
10号は私たちの前でブクブクと膨れていき、影を落とす。
高温の蒸気を吹き出したので私たちは離れながら、大きさを変えた怪獣を見上げる。
フォルティチュード9.0か…小型なら宗四郎がなんとか出来たかもしれないが、これは…私がやるしかない。
亜白隊長不在のこの基地を守り切らないと。
「凉!撃ち抜けるか!?無理やったら戻って他の隊員を頼む!」
「誰に向かって言ってんですか…無理?第3部隊の補佐官を舐めないで頂きたい。」
さっきの状態でかすり傷しかつけられなかったが、狙わなければ最高火力を出せる。
今ここでこの大型の相手を出来るのは私だけ、無理なんて言ってられない。
刀伐術を駆使して飛び回る彼を他所に、私は銃剣に力を込めていく。
限界まで貯めて、トリガーに指をかけた。
「副隊長!!」
私の声を聞いた彼はすぐに怪獣から離れた。
トリガーを一気に引いて、普段よりも威力を増した銃弾が放たれていく。
「下手くそ!!」
「なっ!うる…すみません!!」
脇腹を掠って怪獣の後方へ飛んでいく。
やっぱり、数で攻めるしかないか…。
だが、確実に怪獣の脇腹を抉っていた。
せっかく時間を稼いでくれているのに、これでは邪魔にしかならない。
拳が降ってきたのですぐに地面を蹴って高く跳んだ。
そのまま腕に着地し駆け上がって、首に銃剣を振るう。
キコルちゃんの斧のような大きな武器があれば…。
私の銃剣も宗四郎の刀も、大型には刃が通り切らない。