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おとなりさん【ランフレン夢】

第2章 午後の来客


フェンスの小さな扉をくぐり抜けて、
ランダルが庭の中へ入ってくる。



その足取りは、どこかたどたどしくて。
でも、一歩一歩が妙に慎重で――
彼の中で何かがいまにも破裂しそうなのが、遠目でも伝わってきた。



「いらっしゃい、どうぞどうぞ」



私は笑いながら玄関の方へ先回りし、
家のドアを開けて軽く手を振った。



ランダルはその姿を目で追いながら、なにか言いかけたけど、
結局ことばにはできなかったらしい。



庭の芝生を、黒い革靴でゆっくりと踏みしめながら、
ランダルは、まるで夢の中を歩くように、静かに玄関までたどり着いた。



玄関先で私とすれ違うとき、
彼はちらりと、私の横顔を盗み見る。



すぐに目をそらしたけど、
頬が赤くて、耳まで熱そうだった。



「あ、ここ靴脱いでね。……私はサンダルだから、すぐ終わりだけど」



私はサンダルをぱたん、と脱ぎ、
そのまま裸足でひんやりとした床へ上がる。
ペタペタと音がするのが、なんだかちょっと心地いい。



ランダルも無言のまま頷いて、
つま先をトントンと軽く打ち合わせるようにして、
足を引き抜く。履いていたのは、ひもも留め具もない、つるんとしたシンプルな革靴だった。



中からは、きれいな白い靴下が覗く。



(きちんとしてるんだな……)



私はちらりとその足元を見て、
なんとなく嬉しいような気持ちになる。



「さ、リビングこっち。お茶は紅茶でいい?あとね、ちょっと甘いのもあるよ」



ランダルはうなずくのが精いっぱいだった。



の声が、空気をやさしく満たしていく。



まるで、はじめて踏み込んだ場所の空気に酔ってしまったみたいに。
ランダルは足元の感触を確かめながら、
白い靴下のまま、一歩ずつ、ゆっくりと家の中へと入っていった。
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