第2章 午後の来客
空はきれいに晴れていて、
風がひゅうと通り過ぎるたびに、芝生がさわさわと揺れた。
庭では――ヤギのような、でもちょっと違う何かが、
もぐもぐと無言で雑草を食べている。
つぶらな目をして、つやのない体毛。だけど働き者。
私はというと、
その様子をちらりと見下ろせる位置のベッドチェアに寝転がっていた。
ショートパンツに、タンクトップ。
それから、顔をすっぽり覆うような大きめのサングラス。
誰かに見せるわけでもないけど、夏っぽい格好で、ちょっとだけテンションが上がる。
「……んー……しあわせ……」
まぶたの裏がじんわりと赤く染まっていく感覚。
体の中まであたたまっていくようで、心地いい。
……ただ、私は気付いていなかった。
庭を囲むフェンスの、その少し向こう。
葉陰にまぎれるようにして立つ、ひとつの影。
じっと、じっと――こちらを見つめるその視線に。
それは、あのとき初めて出会った少年。
少し大きめの制服に身を包み、フェンスの外で微動だにせず佇んでいた。
ランダルだった。