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おとなりさん【ランフレン夢】

第3章 ふたり、それぞれの午後


通りの角を曲がったところで、が立ち止まった。



小さな雑貨屋の前だった。
木製のカゴに、色とりどりの小物が並べられていて、
その前で、彼女はしゃがみ込むようにして眺めていた。



ランダルは、あわてて動きを止めた。



(やば……)



近すぎる。
ほんの数メートルしか離れていない。



彼女はまだこちらを見ていない。
でも、もし顔を上げたら、一発でバレる距離だった。



ランダルは慌てて辺りを見回す。
けれど、隠れるには遅すぎた。



建物の影に入るには遠すぎるし、
木も、看板も、彼を完全に隠してはくれなかった。



仕方なく、ランダルは店先の看板の後ろに中途半端に体を隠した。
それでも、体の半分は見えている気がする。



(ボク……何やってんだろ)



心臓の音が、ひどく耳に響いた。



けれど、は相変わらず、
かごの中の商品に夢中だった。



手にとって、裏を返して、
また別のものを手に取って――



何を見ているのかまではわからなかったけれど、
その真剣な横顔に、ランダルは目を奪われていた。



(……かわいい)



思ったとたん、顔が熱くなるのがわかった。



彼女は、何も知らないまま、
今日もきっと、小さな“たのしい”を見つけようとしている。



そのことが、どうしようもなく、胸にじわじわ広がった。
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