第2章 午後の来客
グラスを手に、ソファへ戻る。
テーブルにそっと置いて、
私は自分の分を両手で包むように持った。
「まだ氷が大きいから、少しだけ溶けるまで待ったほうがいいかも」
そんなふうに言いながら、グラスの中をくるりとまわす。
氷がカランと鳴って、澄んだ音が耳の奥まで届いた。
ランダルも、静かにソファへ腰を下ろす。
座るとき、どこか緊張しているのが伝わるような間の取り方だった。
私はあえて何も言わず、
代わりにグラスを持ち上げて、そっとひと口飲んだ。
冷たさが舌に広がって、のどを通る。
さっきまでと違う、すうっと通る感じが心地よかった。
「ね、おいしいでしょ?」
自然に、そう言葉が出る。
ランダルは少し遅れて、うなずいた。
手元のグラスを見つめながら、ほんのわずかに口をつけた。
カーテンがまた風に揺れていた。
外の光は、まだ明るいけれど、
少しずつやわらかくなってきている。
影が、床の上でゆっくりと伸びはじめていた。
私はその変化をぼんやりと眺めながら、
氷が解けていく音に、なんとなく耳を澄ませていた。
そしてふと、つぶやくように尋ねた。
「夕飯ってさ、もう用意されてるのかな?」
その言葉に、ランダルがぴくっと肩を動かす。
「……えっ」
思いがけない反応に、私の口元がゆるんだ。
彼の驚きは、ちょっとだけ、おかしかった。