第2章 午後の来客
キッチンに立つと、冷蔵庫から氷を取り出した。
透明な器に手を入れると、指先に冷たさが染みる。
「ちょっと待ってね」
そう言って、私はガラスのグラスを二つ並べる。
カラン、と氷を落とす音が、心地よく部屋に響いた。
風がまだ、窓から吹き込んでいた。
氷の音と葉擦れの音が混ざりあって、
部屋の空気が、さっきよりも澄んでいく。
グラスの中で、氷がゆっくりと回る。
そこへ、紅茶を注ぐ。
とく、とく、と淡い琥珀色が沈み込んでいき、
氷と触れて透明感を増していくのを見るのが、私は少しだけ好きだった。
「……できたよ」
声をかけると、振り返る前に、後ろから視線の気配が届いた。
でも私は、それには触れなかった。
ただグラスを二つ、両手に持って振り返る。
「こっち、持てる?」
そう問いかけながら、私はにこりと笑った。
少し冷えたガラスが、指先に気持ちよかった。