第2章 午後の来客
「そういえばさ、さんはどうしてここに引っ越してきたの?」
紅茶のカップを手のひらで包みながら、
ランダルがふとした調子でそう言った。
会話の流れをつなぐような、柔らかい口ぶりだった。
あいさつに来たときのぎこちなさは、もうなかった。
「ん?ああ、それね」
私は笑って、カップを置いた。
こういう質問は、別にかしこまるものでもない。
「それまでね、ちょっと都会の方に住んでたんだよ。
ビルが多くて、ごちゃごちゃしてて、人もわんさか。あれはあれで楽しかったけど……」
言いながら、私はクッションに背中を預けて、足を少し組み替える。
話すうちに自然と姿勢も崩れて、すっかりくつろいだ空気になっていた。
「なんとなく、もうちょっと自然のあるとこに行きたいなーって思ってさ。
で、いろいろ探してたら、ここが空いてたの。タイミングも値段もぴったりで、もう即決!」
そう言って笑うと、ランダルは黙ってうなずいた。
その視線が、カップ越しにちらりとこちらを見て、
またそっと逸れたのが少しだけ可笑しくて、私はくすっと笑った。