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おとなりさん【ランフレン夢】

第2章 午後の来客


…おいしい?」



私がそう訊くと、ランダルはカップをそっと置いて、
小さくうなずいた。



「……うん」



それだけ。
けれど、その声はさっきよりもはっきりしていた。



「そっか、よかった」



私はそれだけで、なんだかうれしくなって、
クッキーをもう一枚つまむ。



「……甘いの、好き?」



今度は私からではなく、ランダルの方からの問いだった。



私は思わず目を丸くする。



「うん、けっこうね。疲れてるときとか、なんでも甘くしたくなっちゃう」



紅茶をひと口飲んで、
苦みと甘さのバランスを確かめるようにうなずいた。



「でも、砂糖は入れすぎないようにしてる。カロリー的にね」



ちょっとした自虐も込めて笑ってみせると、
ランダルの口元がわずかに緩んだ気がした。



「……さん、面白い人だね」



今度は、ほんの少しだけ笑いを含んだような声。



私は思わず、照れたように肩をすくめた。



「よく言われるよ。変な人だなーって。そっちだって、ちょっと不思議なとこあるよね?」



視線を向けると、ランダルは少しだけ視線を逸らした。



けれど、もう以前のような緊張した沈黙はなかった。



ほんの少しずつ――
言葉が行き交い、空気がやわらいでいく。



テーブルの上には紅茶の香り、
クッキーのかけらがころころと残り、
差し込む光が、カップの縁をやさしく照らしていた。
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