第15章 秘密の部屋
ロンは震える声で呟いた。
「だけど……どうやってそんな大蛇が、誰にも見つからずに動き回ってたんだ?とんでもなくでかいだろ……」
「パイプだ」
ハリーの声が低く響いた。
「水道の配管だよ。僕には、壁の中から声が聞こえてた。全部……管の中を移動してたんだ」
「……」
ロンはその場で凍りついたように黙り込み、やがてがばっとハリーの腕を掴んだ。
「――じゃあ、『秘密の部屋』の入口は……!?」
チユの心臓が一気に早鐘を打ち始める。
浮かんだ嫌な予感を、口にするのも怖かった。
「……もし、トイレの中だったら」ロンが言いかける。
「嘆きのマートルのトイレ」チユが息を呑んで言葉を継いだ。
3人の間に、ぞっとする沈黙が落ちた。
体の奥底から震え上がるような恐怖と、答えにたどり着いたという確信が混じり合う。
「……ということは」ハリーが低い声で切り出した。
「この学校で蛇語を話せるのは、僕だけじゃない。『スリザリンの継承者』も話せるんだ。あいつは蛇語でバジリスクを操ってきた」
「これからどうする?」ロンの目は恐怖と興奮でぎらぎらしていた。
「マクゴナガルのところへ行こう!」
「職員室だ」ハリーがはじけるように立ち上がる。
「あと10分で先生が戻ってくる。ちょうど休み時間になるはずだ」
3人は階段を駆け下りた。
廊下で捕まればすべてが終わる。
だからこそ、まっすぐに職員室へ向かった。
広い壁板に黒い椅子がずらりと並ぶその部屋は、誰もいなくて静まり返っている。
落ち着かない2人は室内を行ったり来たりしていたが、チユは胸の高鳴りを抑えられず、椅子の背にそっと触れた。