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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【2】

第15章 秘密の部屋



医務室に着くと、マダム・ポンフリーが腕を組み、眉をひそめた。
「……本当に許可をもらったのですね?」


「もちろんです、先生!」
チユが答えると、ロンもハリーも慌ててうなずいた。


「石にされた生徒に話しかけても、何の意味もありませんよ」
渋々という様子で、マダム・ポンフリーは3人を中に入れた。


ハーマイオニーは、深い眠りに閉じ込められたかのようにベッドに横たわっていた。
「……ハーマイオニー」


チユはベッド脇の椅子に腰を下ろし、小さく手を取った。
冷たく硬い指。心臓が痛むほど悲しかった。


「早く帰ってきてよ……ねえ、わたしたち、あなたがいなくちゃ全然ダメなんだから」


ロンは頭をかきながら苦笑した。
「本当だよ。君、試験の復習してただろ?僕ら、ノート借りようと思ってたのに」


「ちょっと、ロン!」チユが睨むと、ロンはバツが悪そうに肩をすくめた。

「冗談だよ、冗談。でも……ハーマイオニーなら絶対、何か気づいてたはずだ」


「でもさ」ロンは眉を寄せ、ハーマイオニーの硬直した顔を見つめた。
「もし相手がこっそり忍び寄ったんなら……見えてないかもしれないだろ」


ハリーはロンの言葉を聞いていなかった。
何かに気づいたように身をかがめ、ハーマイオニーの手元を見つめている。


「……ねえ、見て」
ハリーが小声で言うと、チユも覗き込んだ。


固く握りしめられたハーマイオニーの右手。
その拳に、くしゃくしゃの紙切れが挟まっていた。


「……これ」
チユの胸が高鳴った。
「ハーマイオニー、最後の瞬間まで……何かを伝えようとしてたんだ」


マダム・ポンフリーが近くにいないのを確かめて、3人は息を潜めた。
「なんとか取り出してみて」ロンが椅子をずらし、ハリーを隠す。


しかしハーマイオニーの手はまるで石像のように固く、紙はびくともしない。
チユは唇を噛みしめ、そっとその手に触れた。


「ごめんね……ちょっとだけ、我慢して」


何度も引っ張り、ひねり、爪先まで力をこめて数分。
やっとのことで紙片を引き抜いたとき、3人とも安堵の息を漏らした。


古びた本の1ページが破り取られたもので、インクの色もかすれている。
チユは震える指でしわを伸ばし、ハリーとロンが両脇から覗き込んだ。


そこには、見慣れぬ大きな文字がはっきりと書かれていた。
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