第7章 マーキング
「白雪、まだ傷が治らないのか?」
『へっ!?…あっ、もうほとんど治ってはいるんですがまだ少し傷が痛々しいので』
「そうか、無理はするな。いいな?」
『はい!お気遣い有難うございます』
エマは心の中でミナに謝った。
何故ならエマは咄嗟にミナに嘘をついたからだ…
久しぶりにミナと銭湯に行くことになったエマ。
基本的には家か補佐官室に備え付けられているシャワーしか使わないものの、こうやってたまにミナに誘われればお供することがある。
そんな時の為にエマはいつも身体に包帯やガーゼを身体に巻き付けているのだ。
然し、その包帯やガーゼは傷口を隠すものなんかではない。
エマの身体に巻かれている無数の包帯やガーゼは全て保科がつけたキスマークを隠す為のものなのだ。
ミナが心配するのも無理はない、何故なら彼女と以前共に銭湯に入ったのは1ヶ月前。
その時もエマの身体には包帯やガーゼが巻き付けられていたのだ。
怪獣に負わされた怪我で治りが悪いとなんらかの異常がある可能性がある。
エマは我慢強い性格であるので、我慢しているのではないかとミナは心配したのだ。
そんなこともありエマは暫く保科にキスマークをつけることを禁止したのであった…