第1章 プロローグ
『んっ…』
目覚めるとまだ外は薄暗い。
時計に目をやれば針は5時を指していた。
予定より2時間も早く目覚めたようだ。
二度寝してもいい時間ではあるが、生憎完全に目が覚めてしまったので隣で眠っている彼を起こさないようにそっとベッドから降り、床に散乱している服をかき集めそっと部屋を出た。
シャワーを浴び、洗面台に映る自分がふと目に入った。
『ッ!もう…こんなとこにまで』
脇腹あたりにポツンと一輪の赤い華が咲いていた。
それは紛れもない彼が付けたモノ。
胸元、腰、内腿など、服を着れば隠れる箇所ではあるものの、私の躰はあちこちキスマークだらけ…
見えない箇所につけてくれるのは彼なりの優しさだ。
私たちは恋人同士ではあるものの、職場では恋人同士であることを伏せている。
その理由はまたおいおい…
スキンケアをささっと済ませて、キッチンに立ち朝食の準備をする。
時間に余裕があるので、今日はゆっくり食べれそうだ。
時計に目をやれば6時半を指していた。
コーヒーを淹れてから彼を起こそうと思っていた矢先、ぎゅっと後ろから抱きつかれたのだ。