第1章 1
◇
──21:24
「あ゛ーーー!!ちょっと止めて!!!!フリーズしないでーーっ!!」
…………最悪。
入力を始めて2時間半。
今までの努力は…全て無に帰した……。
「……もーやだ…」
私はデスクに突っ伏す。
……………でも。
「やらない訳にはいかないもんね…」
使い慣れない鈴木さんのパソコンではなく、自分のパソコンにデータを移して、私は一から入力を始めた。
今日中に片付けたら…明日は午前中寝ていられるんだし!!
「………」
ふと私は、キーボードを叩く指を止めた。
──いつまで続くのだろう…この生活は…。
……いつになったら…私は…『彼等』のマネージャーとして、また活動出来るんだろう…?
それよりも私は、『彼等』のマネージャーなのかな…。
こんな…1ヶ月半も『彼等』の顔も見ず、声も聞かないマネージャーなんて……いないよね?
◆
──21:52
高速を使って大体4時間。
──飛ばせば3時間。
頭の中で簡単に計算して、俺は愛車のアクセルを踏んだ。
傍らには2個入りのケーキの箱。
前にkiyoが「美味いから」と持って来た、スタジオ近くの洋菓子店のケーキ。
彩夏はめちゃくちゃ美味そうに、そして嬉しそうに口いっぱいに頬張っとった。
───顔が、見たくなったんや。
それが笑顔なら文句ないから………。