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空を見上げた。

第4章 2。



それでも、俺は一瞬、名残惜しい気持ちを抱きながら振り返った。そして、今は新しい発見と出会いを大切に胸に刻もうと思い、繋いでいる手に不思議な安心感を抱きながら顔を上げ、少し口角を上げて歩みを進めた。

―――。

「はは、そんなに緊張しないで。そうしないと、馬も落ち着かなくなってしまうから」

ハンジさんは俺たちにそう言いながら、楽しそうに笑った。俺たちは今、生まれて初めて馬の背中に乗っている。少し背の低いルアを前に乗せ、後ろに俺が乗って俺が手綱を引いている。

あの後、家の近くまで送ってもらえることになったのは良かったが、俺は帰り道が分からず戸惑っていると、ルアが帰り道を覚えていてくれたおかげで、無事に帰路に着くことができた。

最初は三人で歩いていたが、家の敷地内から滅多に出ることがなく、庭で遊んでいることが多い俺たちは運動不足気味だった。そのため、久しぶりに走ったので、早々に体力の限界が訪れてしまった。すると、見かねたハンジさんが俺たちを馬の背中に乗せてくれた。

その後、改めて分隊長と呼ばれていた人が「私はハンジ・ゾエ。よろしくね」と自己紹介をしてくれた。そして、先ほどの男性は直属の部下である「モブリット・バーナー」という人だと教えてもらった。

俺たちは今日、多くの初めての体験をし心から感激していたが、同時に多くの迷惑をかけてしまったことに対して心苦しい気持ちも抱いていた。

しかし、ハンジさんはとても優しい人で、俺たちを叱責することはなかった。そして、ハンジさんの中性的な優しい声と明るく穏やかな雰囲気に触れるうちに、俺たちの緊張はいつの間にか和らぎ、初めての経験に対する気持ちが一層高揚していった。

馬に乗ることはもちろん、そこから見えるいつもの街並みさえも、初めて見る景色のように感じられ、俺とルアはキョロキョロと周囲を見渡しながら顔を見合わせて笑い合った。そして、ハンジさんはそんな俺たちを面白そうに笑い、変わらず優しい表情と穏やかな雰囲気で見守っていた。

「それにしても、君たちが住んでいる家は随分と街の外れにあるんだね。初めて来たよ。とても静かな場所だね。」

俺たちはしばらくはしゃぎながら周囲を見渡していると、ハンジさんが静かにそう言い、周囲に視線を巡らせた

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