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空を見上げた。

第4章 2。



「調査兵団…だ…」
「え、ほんと!?」

「うん、絶対にそうだよ。少ししか見えなかったけど、確か、駐屯兵団は薔薇で憲兵団はユニコーンの刺繍がモチーフだった気がす―って、リヴ!?どこ行くの!?」

「調査兵団」という言葉を聞いた瞬間、俺の心拍数が上がり、自分でもわかるほど興奮し始めていた。その興奮が伝わったのか、ルアも少し興奮気味に説明をしてくれた。

しかし、俺はその説明を途中で遮り、握っていた手を離すと、勢いよくその場を走り出した。背後でルアの声が響いていたが、気にせず背の高い大人たちの足元をかき分け、ぶつかりそうになりながら走り続けた。

「(…追いつけっ)」

俺はそう思いながらただ走り続け、追いかけた。久しぶりに全力疾走をして、息が上がり、非常に苦しかった。大量の汗をかき、その感覚に気持ち悪さも感じている。

しかし、そんなことを気にかけるよりも、今、俺が最優先したいのは「調査兵団を間近で見たい」という思いだけが、強く心の中に広がっていた。

俺とルアは、母さんのお遣い以外では家の敷地内から滅多に出ることがなく、この壁の中の世界で起こっていることに関する情報が極端に不足している。

それでも、この狭い壁の中にもさまざまな物事が存在している。「幼いから知らないことが多くても仕方がない」と言われてしまえばそれまでだが、なぜか母さんと姉さんは兵士や兵団について詳しいことは何一つ教えてくれない。

家族の中には「聞いてはいけない」という特有の雰囲気と暗黙のルールが存在し、聞きたくても聞けないことがたくさんあった。

そのため、近所に住む同い年の子どもたちから「世間知らずの引きこもり」とヤジを飛ばされることは日常茶飯事だった。しかし、俺たち二人にとっては「何も知らない、知ることができない」ことが当たり前だった。

そんな日常を送っているため、時折街にお遣いに出かけると、兵士の姿を見るたびに強い憧れを抱いた。

そんな日々を送っている中で、「駐屯兵団」や「憲兵団」についても教えられることがないのだ、もう一つの兵団である「調査兵団」について教えられることはまずあり得ない。調査兵団の存在を知ったのは、ルアが二人きりのときにこっそり教えてくれたからだった。

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