第4章 2。
俺はただ、生気を失ったように力のないルアを強く抱きしめることしかできなかった。なぜだろう…今日は久しぶりに親子二人で過ごすはずだったのに、どうして今、ルアは一人なのだろう…
そんなことを考えても、すでに手遅れで何もできない。その日から、身寄りがないルアは俺の家に引き取られ、以前から家族同然に過ごしていたが、血の繋がりはなくとも本当の家族となった。
そして、俺の家に引き取られたルアは、精神状態が非常に不安定で、まともな生活を送れなくなった。食事も睡眠も取れず、大好きな本を読むこともできない。話すこともできず、笑うこともない。
何かあるたびにフラッシュバックを起こし、暴れたり泣き叫んだりする日々を何日も過ごしてきた。俺はルアが救助された時の様子を詳しく知らず、避難所にいた兵士から事情を説明されていた母さんと姉さんも教えてはくれなかった。
きっと、幼い俺には過酷で残酷な現場だったのだろう。説明を聞いているときの母さんと姉さんの雰囲気や表情から、子どもながらに容易に聞いてはいけないことだと理解することができた。
そんな中で、俺たちはそのルアに対して精一杯のサポートを行い、寄り添ってきた。そして、最近ようやく笑顔が戻り、本を読むことができるようになり、食事や睡眠も取れるようになってきた。
俺はもうあの時のルアの姿を見たくないし、できれば思い出したくもない。しかし、ルアの中にはあの頃の記憶が色濃く残っている。
そのため、時折街に来ると気まずい空気が流れる。普段、二人で過ごしている時間に苦痛を感じることはほとんどないが、この時間だけは慣れることができない。
俺はあの頃を思い出し考え、ルアに気づかれないように小さく息を吐いた。
「あ…リヴ、あれ見て!」
「何?どれ?」
俺は当時、考えていたことや思い出に耽りながら歩いていると、突然、ルアが立ち止まった。その拍子に繋いでいた手を引かれ、思わず体が前のめりになりながらも立ち止まった。
そして、ルアの言葉に首を傾げながら、指さされた先に視線を向けた。
その瞬間、思わず目を見開き、息を呑んだ。俺の視線の先には、大勢の背の高い人々の中に紛れ込んでいる深い緑色のマントが見えた。そのマントの背中には、自由の象徴である【自由の翼】の刺繍が施されていた。