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空を見上げた。

第4章 2。



ルアは、普段仕事が忙しい母さんが久しぶりに休日を迎えたため、二人で静かに家で過ごすと言っていた。

普段は俺の家に預けられている時間が多いため、俺たちは毎日のように一緒に過ごしていた。

決して一人で留守番をすることがないわけではないが、基本的には俺たち家族三人とルアで過ごし、4人で行動することが多かった。

しかし、あの日は運が良かったのか、悪かったのか…いや、まだ家に一人ではなかっただけ、良かったのかもしれない。ルアはあの悲劇、惨状を目の当たりにした。

すでに起こってしまったことに対して「もしあの時、こうしていればよかった」と考え始めても、キリがない。後悔はいつも先には立たない。

家から滅多に出ることがない俺たちは、時折こうして街に出ることが新鮮で楽しいと心から感じている。しかし、同時に街に来ると、どうしても思い出したくないことを思い出してしまう。

仕方がないと理解していても、受け入れられないことは生きていれば誰もが抱えているものだ。

俺は思い出したくないと思いつつ、一瞬周囲に視線を巡らせた。しかし、やはり少し気分が悪くなり、何も考えないように視線を逸らし、再び前を見据えて歩みを進めた。

あの日、この街が巨人に襲撃されたとき、家で母親と過ごしていたルアは、間近で巨人を目にし、その脅威を身をもって実感した。

ちょうど、俺たちが内地で母さんの検診を終え、家に帰ろうとしたとき、巨人の襲撃に遭い、周囲はパニックに陥っていた。そして、内地には多くの避難民が押し寄せていた。

当然、俺たちは内地から出ることができず、トロスト区の家に帰ることもできなかった。

そして、無事にトロスト区の街を巨人から奪還し、その事の収束を聞いた俺は、無我夢中で避難所を探し回った。しかし、やっと見つけたのはルアただ一人だけだった。

その時、俺はルアに「どうして一人なんだ」と尋ねるまでもなく、ルアの姿を見れば何があったのかを容易に察することができた。

その時に見た姿は、生気を失い、力なく動かない様子と空虚な瞳があった。そして、この状況で、当然共にいるはずのルアの母さんの姿がどこにも見当たらなかった。

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