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【♀夢主】あたらしいかぞく【ランフレン】

第4章 ぬいあわせのひ


部屋は、まだ散らかったままだった。



ソファには脱ぎ捨てた服が積まれ、
床にはタイツやリボンの切れ端が点々と転がっている。



そんな中、部屋の奥に棺が静かに置かれていた。
最初から、今日の終わりを待っていたかのように。



ランダルは私の手を取ったまま、棺のそばへ歩いていく。



「ね、。今日は……このまま一緒に寝よ?」



声は穏やかで、どこか甘く、すこし寂しげだった。



「だって、こんなにかわいくなったんだもん。
ボクが一番ちかくで、ちゃんと見てなきゃ」



棺の蓋を開けると、毛布がふわりと広がる。



私が棺に手をかけた瞬間、

「だーめ。きょうはボクがいれてあげるの」



そう言って、背後から抱き上げられた。



ふわりと空気が動き、
私はランダルの腕に包まれて棺の中へ降ろされる。



毛布を優しくかけながら、ランダルは笑った。



「……うん、今日のは、特別かわいいね」



その目は、ずっと私だけを見ていた。



そしてランダル自身も、するりと棺の中へもぐりこむ。



狭い空間に、衣装の香りとぬくもりが満ちる。



「……ちゃんと隣にいるよ」



腕が腰にまわり、髪を撫でられる。
額にそっと、あたたかな口づけが落とされた。



「ぎゅってして寝たい……
寝たくないけど、でも一緒にいたい……ずっと」



囁く声は、甘くとろけていた。



私は、静かに目を閉じる。



その気配を受けて、ランダルがくすっと笑った。



「……ふふ、やっぱり……ボクの、いちばんかわいいこ」



そして――



カタン。



棺の蓋が閉じられ、世界が、そっとふたりきりになった。
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