第2章 薔薇は赤く、美しく
教室に入ると、大量の視線と、その中に少し感じる困惑、興奮、そして喜び。
ここの世界の人間はわからんな。どのへんに喜びが……?あぁ、もしかしてユイか?たしかここ男子校だもんな……
とりあえず適当な席に座る。
『隣、失礼するね』
「えっ、あっ……」
隣になったやつが硬直した。そんなに嫌だったか?
と思っていると、反対の隣から腕を引かれる
『……あー、エース?なにかあったか』
「…………別に……」
え、こいつ拗ねてる……?何に?えどした?
エースの謎拗ねに困惑していると、教室のドアが開いて多分教師が入ってくる。
「Good morning 仔犬共!お前たちの担任のデイヴィス・クルーウェルだ」
クルーウェル様とでも呼べとかなんとか。デイヴィス……?聞いたことがあるようなないような。まあ、悪魔に同じ名前のやつでもいたんだろ。西の方の悪魔にいてもおかしくない名前だしな
どこで感じたデジャヴか、クルーウェルと目が合うとクルーウェルが一瞬硬直した。
なんなんだろうなこの世界の人たち。別に今は人間っぽい姿にしてるんだけど。まあ生徒として置いてもらう以上は、生徒らしく振る舞うか……と思い教師の言葉に耳を傾けようとした矢先、隣から声をかけられる。
「えっと、あの……」
エースと反対隣の人、青い髪の人間。隣に失礼した瞬間に超びびつてきたやつだ。
「シルヴァ、か…?」
なんだろう、さっきからデジャヴしか感じない。こいつも鏡での仲だとでも言い出すのか。
『……そうだが』
「あっ、やっぱ覚えてないか……?結構前のことだしな……」
ですよね。覚えてはないけど察したぞ。
「僕はデュース・スペード……前に、シルヴァと鏡越しに仲良くしてもらってた」
『デュース……って……ん?お前、金髪の時期とかあった?』
「えっ!?あ、ああ」
『あー、そんな奴もいたような……』
たしかにこの顔で金髪のやつは見たことある気がしなくもない。
『んー……ま、よろしく、デュース』
「!ああ」
「随分仲良いみてーじゃん」
袖を引かれたと思ったらエースだった。人間の感情に敏感な悪魔として察するにこれは……なるほど、嫉妬か。なぜ。
あ、もしかしてデュースと仲良くしたかった感じか……?
『エース……次からは席交換するか?』
「なぜ??????」