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先生と僕

第23章 ■青年期の凱旋


ナタが鳥の隊のハンターに勝った、という話はあっという間に東の国中に広まった。
ナタより年上のほとんど、特に禁足地調査隊はその意味をよく理解している。
「遂にやったなナタ!」
「も年貢の納め時か!」
当初はいつ雛鳥のようについて回るナタが夢から醒めて諦めるか見守っていたのが大半だったが、あののストイックな鍛練をこなし、いつしか本物の武器を扱い、モンスターを単独で狩れるようになった頃には「これはナタのやつ本気では」「さすがのも負けるのでは」と気づき始めその時を見守っていたのだった。
男衆に遠慮なく叩かれて歓迎を受けるナタは気恥ずかしいながらも誇らしげな笑顔で応じる。
「良かったな」
はオリヴィアに静かに出迎えられて複雑そうな顔をした。
「良かったのか?」
「彼を取られたくなかったんだろう?」
「それはそうだけど」
「彼の人生を歪めてしまったと思うなら今更だし、彼は自分で選んだと思うべきだろう」
「自分の扱いに疑問を感じる……」
「馴染んだ証拠だよ」
ひたすらポジティブなオリヴィアのフォローに礼を述べ、ナタを呼ぶ。セクレトよろしく走ってきた彼に愛おしさを募らせながらあまり周囲に乗せられてはしゃがないようにと告げた。
「はい、一度勝てただけなのでもっと精進します」
「うん、ナタはもっと強くなれる」
「はい、先生! それで……」
ナタはオリヴィアが手を上げて去っていくのを確認して愛おしい師匠に耳打ちした。
「僕も二人きりの時はさんって呼んでもいいですか?」
「…………呼び捨てでもいい」
遠くから囃し立てる声には武器を握った。
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