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先生と僕

第7章 ■思春期の帰省


「今日、呼ばれた訳はわかるかな」
前にも言われたなとハンターは肩をすくめた。

鳥の隊のハンターが西の国に帰るらしい、という噂は禁足地調査隊の端から端まで瞬く間に広まった。
蒼白な顔で今にも閉じ籠りそうなナタを引っ張ってアルマとジェマはハンターのテントに突撃した。
「私らに相談なしなんて酷いよ!」
「ナタはどうするんですか!?」
荷造りをしていたらしいハンターは驚いてまだ話してないのに何故知ってるのかと問い返してきた。
「ハンターはいつも注目されてるって自覚持て!」
「禁足地はどうするんですか!?」
「十日くらいなら大丈夫だとファビウス卿も」
「「十日も……十日!?」」
予想以上に短い日数を告げられて女性二人の声がテントに響いた。

ハンターの話をまとめると『故郷で十年に一度の祭事があるため一時帰郷する』ということらしい。
「帰るって……そういう……」
脱力しきったジェマに早とちりした恥ずかしさに真っ赤になるアルマ、そして安堵から半泣きのナタにハンターも困惑した様子で「尾ひれがつくのが早い」とぼやいた。
「じゃあ先生はお祭りが終わったらここに戻ってくるんですよね?」
「うん、ナタを置いていなくならない」
「あの、じゃあ……先生の故郷に僕もついていくことはできますか?」
突撃した勢いで尋ねるとハンターは考える素振りを見せてファビウス卿の許可が得られればと応じる。
「前にも話したが、狩人の里だからモンスターを狩るだけでナタが楽しいかどうかは」
「大丈夫です。先生の生まれ故郷が見たいんです!」
「確かに自分は守人の里に入ったのだから不公平だ」
そういう問題ではないのだが。しかしナタの本人がその意図があるかは不明だが、外堀を埋める作戦は有効なのでアルマとジェマは黙っていた。
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