第1章 ■少年期の始まり
僕の先生は凄腕のハンターだ。
鳥の隊を編成してここに来るまでは完全にソロで活動していたそうだ。他の隊の人たちがオトモ以外の人間……アルマやジェマ、そして僕と一緒に行動していることに驚いているのを今でも聞く。
「先生はどうしてアルマとジェマと隊を作ったんですか?」
「ナタ、勘違いしないでほしいのだけれど……望んでソロだったのではない」
「そうなんですか?」
「うん、ただ誰も最後までついてきてくれなかっただけで……だから二人には感謝している。もちろんナタにも」
とにかくソロハンターをしていただけあってとても強い。体が特別大きいわけでも筋肉がすごいあるいわけでもない、普通の大人の女の人なのに一人で大型モンスターを倒してしまう。
「ナタ、知ることが一番の武器だ」
先生はそう言って、モンスターが僕たちに気付いていない時にはどうしているか、威嚇するか逃げるか、どう攻撃してくるか、弱ったらどうなるか、何に強くてどこが弱いか教えてくれた。モンスターだけじゃなくてそれぞれの武器について、他の隊の戦い方、それぞれの土地の特徴、環境生物や採取できるアイテムの使い方などなど……持っている知識を全部僕に分けてくれる。とても覚えられなくて何度も聞いてしまうけど、先生は怒らずに繰り返し答えてくれる。それで微笑んで
「ナタは勉強熱心だ」
と頭を撫でてくれる。
先生が強いのは僕が守人として生まれ育ったように先生は狩人として僕より小さい時から武器を持って育てられたかららしい。
だから僕がすぐに強くなれないってガッカリしなくて大丈夫だと教えてくれた。オリヴィアさんたちもそれを聞いて先生の強さに納得したみたいだった。それからちょっと変わってるのにも。
ずっと守人の里で生きてきた僕も知らないことばかりだけど、西から来た先生もハンターばかりで世間話は苦手なんだって。最初は僕に話しかけてくれる時もぎこちなくてタシンおじさんと違うなあって思ってた。僕のこと好きじゃない、邪魔なのかなって。