第12章 6月13日
「あ、菅原さん、お誕生日、おめでとうございます!」
「え?!あ!覚えててくれたの?ありがとう、松本!」
私がそう言うと、菅原さんはにっこり笑顔を見せた。
「「おめでとうございます!!」
それを見た田中さんとノヤさんも声をそろえて言う。
「あははー。田中も、ノヤもありがと~。」
嬉しそうな菅原さん。
を、見て少し様子のおかしい潔子さん。
「あの…。潔子さん?どうしたんですか?」
「えっと、菅原、誕生日なの?」
「清水~。覚えとけよ~。」
「ごめん。興味無くて。」
「仲間だろ!興味もって!もうちょっと!!」
「・・・努力する。」
ん??
ん???
ということは?
「あれ?!潔子さん、菅原さんに何か渡してませんでした?」
「え?ああ。あれ?」
私が問いかけると、潔子さんは菅原さんの持っている紙袋を指さした。
私が頷くと同時に田中さんが潔子さんに尋ねる。
「あれ、プレゼントじゃないんですか?」
「これは、菅原が貸してほしいって言ってた本。」
「「本?!」」
「そうそうー。おもしろいって噂でさ。清水が持ってるって言うから。」
菅原さんがそう答えるとノヤさんと田中さんは慌てて質問をする。
「って、っていうことは?!」
「その、紙袋に特別な思いが詰まってたりは?!」
「しないだろうね。」
「うん、しないかな。」
「「よ、よかった~!!!」」
ふたりが安堵の表情を浮かべると
潔子さんと菅原さんは目を見合わせて笑った。
「菅原。」
「なに?」
「おめでと。」
「ありがと。」
潔子さんが少し照れながら言う姿はあまりにもかわいくて。
どうしよう。
国宝級なんだけど。
おおはしゃぎでぴょんぴょん飛び回るノヤさんと田中さんは
潔子さんがそんな国宝級の笑顔を見せていたことに気付いてないんだろうな。
非常に残念である。