第12章 6月13日
「でも、だからってずっとここにいるんですか?」
「「だから困ってんだろー?!どうしたらいいんだよ!!」」
「あ。そういうことですか?」
体育館に入れなくて困ってたのか!!
「普通に入ればよくないですか?」
「お前、そんな勇気あるのかよ…。」
「偉大すぎるぜ…。」
「え?もう何言ってるのかよくわかんないです。」
「香苗、結構毒舌だよな。」
「ありがとうございます。」
「「褒めてねえし!!!」」
ふたりが声をそろえてそう言うと、
「ねえ、さっきから何やってるの?」
「あ、潔子さん。」
「ずっと、こっち見てたよな?」
「スガさんまで…。」
潔子さんと菅原さんが近づき、声をかけてきた。
ノヤさんと田中さんは気まずそうにしている。
まあ、ずっと覗き見してたもんね…。
「ふたりがうるさいからバレちゃったんじゃないですか?」
「おい、月島でさえ“うるさい”とは言わなかった俺のことをよくもまあストレートに“うるさい”と言ってくれたな。」
「っていうか松本が来たからバレたんだろ!」
「えー?私のせいですか?」
私がそう言うと、菅原さんと潔子さんはくすくすと笑いながら話始めた。
「いや、その前から気付いてたけど。なあ。」
「うん。何してるのかな?って思ってた。」
っていうことは、ずっとここでこそこそしてたことには何の意味もなかったんだ。
「まさかの!バレてたんですか?!」
「っていうか、隠れてるつもりだったのに驚きだよ。」
スガさんにそう言われ、ノヤさんも田中さんもすっかり落ち込んでしまった。
このふたりに忍ぶ能力があるとは思えないもんな…。