第12章 6月13日
「あれ・・・?どうしたんですか?」
放課後、部活のために体育館へ行くと、入口にノヤさんと田中さんがいた。
「いや、おい。あれ見ろよ。」
田中さんに促され、体育館を覗くと、潔子さんと菅原さんがそこにはいた。
「?いつも通りのふたりじゃないですか?」
「いや、違う、よく見ろ。」
そう言われ、ふたりの様子をよく見ていると、潔子さんが菅原さんに何かを手渡している様子である。
・・・紙袋っぽい…。
「・・?何を渡してるんですかね?」
「わかんねーのか?!」
「香苗、よく考えてみろ。今日は何の日だよ。」
今日は6月13日…って
「あ!!」
「そう。」
「スガさんの誕生日だ。」
すっかり忘れてた・・!
「あ!じゃあ、今から、サプライズ的に“ハッピーバースデートゥーユー”歌いながら入るの、どうですか?!」
「バカやろう!!!」
「お前にはわからないのか?!」
私の提案に絶対に乗ってくれると思っていた二人が、怖い顔で私に言った。
そういうの、好きそうなのに!!
「いや、何がですか?!」
「“あの”潔子さんがスガさんに個人的にプレゼント渡してるんだぞ?!」
「特別な意味があるに決まってるだろ。」
そう言うふたりの目には心なしか涙が浮かんでいるように見える。
「俺たちは、大好きな潔子さんが幸せになるなら、それを後押しする。」
「俺たちが潔子さんの人生の邪魔になってはいけねえ。」
何か、確固たる意志があるようだけど
今まで邪魔になってたことは少なからずありそうだけどな…。