第17章 甘い熱
「ガラじゃねぇな…女抱くって時に緊張するなんて…」
そう呟いてはぁ…っとため息をもう一度吐く悟浄。サーっと聞こえてくるシャワーの水音へと視線を送るものの、どうにもならず悟浄は立ち上がる。
「…なぁ、理世?」
「……」
コンコン…
「なぁに?」
「俺も入っていい?」
「…うそでしょ?」
「マジ…」
「……もう少ししたら出るから待って…」
そうして扉越しに会話を済ませると、宣言通りに時期に浴室から出てくる理世。しかし少しだけ開ければ『向こう向いて』と悟浄は言われる始末だ。
「…はいはい」
手早く拭けばタオルを巻き付けて『どうぞ』と促す。
「…それで待つの?」
「待つわけないでしょ、早く入りたそうだったから、応急処置」
「……そか。」
むぅ…っと尖らせる理世の唇に悟浄はそっと合わせ重ねれば『すぐに出る』と言い残した。
「…ッッ」
珍しく浴衣を用意されている宿だったため、せっかくなら…とそれを着た理世。髪を乾かしながらも
「これからって感じなら…どっちが正解…?」
そう、下着をつけるかどうかをひたすら迷っていた。しかし意を決して下着を付けずに椅子に座って待つ。コチ…カチ…コチ…と時計がやけにうるさく感じていた。
「…やっぱり下着…つけとこうかな…」
そうして思い直し立ち上がった時だ。浴室の扉は開く。
「…ん?どうかした?」
「どうも、してない…」
「……そ?」
体をふき、髪をガシガシと拭き、下着を付けた悟浄を見て理世はそこはかとなく反省をした。
「…どうした?」
「いえ、あの…特別問題はない、というか…」
「なんだ、それ」
クツクツ笑うものの、タオルを置いてベッドに座る悟浄。
「…ん」
そっと右手を出す悟浄だったものの、動けなくなっていた理世。
「…どうした?」
「私…その…」
「ん?」
「失敗…した」
「何が…」
「その…」
しかし何を間違えたのかわからない悟浄は立ち上がり理世の前に来るとそっと腰を抱いた。