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緋色の愛で抱いて【最遊記悟浄夢】

第16章 続く沈黙


翌朝、朝食を摂って、出発をしようという時だった。

「…それじゃぁ、行きますよ?」
「はーい!!」

元気なのは悟空だけだった。と言っても三蔵は通常運転、悟浄も小さく『へーい』と返事するだけ、こちらもいつも通りだった。

「理世?出発していいですか?」
「あ、うん、大丈夫!」
「それじゃぁ、行きますね?三蔵」

そう話しながらも八戒はジープを走らせる。ブルルルル…っと走らせるものの、後部座席がいつも以上に静かすぎるほどだった。

「…あー、どうしたんでしょうね」
「知らん」

そう話す八戒と三蔵だったものの、それでも後部座席は平和そのものにも思えた。

「……ッッ…」
「たく、暇な時間も続かねぇなぁ…」
「そうですね」

そうして三蔵は煙草に火を点ける。ジープを止めて八戒と悟空、悟浄は降りていく。

「まったく、三蔵サマの経文狙いなんだろ?」
「そうだよなぁ…」
「そうなんですけどねぇ…」
「たく…」

少しばかり苛立ちを隠せない悟浄を見て悟空は八戒に声をかけた。

「…なぁ八戒、悟浄どうかしたのか?」
「分からない、というのは違うかもしれないんですが…」
「何々?」
「…でも、解らない、が正しいかもしれないですね…」
「うぇぇ…なんか…よく分かんねぇ…」

そうですねと呟きながらも八戒は防護壁に回っていく。

「…おい」
「へ?」
「あのバカとなんかあったのか?」
「ないと思うよ…」
「思うってなんだ」
「…私が勝手に怒ってるだけ…」
「ぁあ?」
「もぉ…自分がヤダ…」
「自己嫌悪かよ。」
「……そうだよ、自己嫌悪よ…」
「バカだな」

三蔵の後ろでうなだれる様にして理世はこつんと額を合わせる。それをちらりと見る悟浄はチッと舌打ちをして錫杖が同時にうなりを上げた。

「…なるほど、そういう事ですか…」

八戒はただそれだけで事の事態のほぼ全てを察したのだった。
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