第11章 心、狂わせて…
そして三蔵の部屋から一つ階を降り、自身の部屋に向かう途中だ。
「…」
コンコン…っと少し躊躇いがちに戸をノックする理世。時期に扉は開いた。
「…ん?どうした?」
「ちょっと…お話が…」
「…入るか?」
こくんと頷けばそのまま悟浄の部屋に入っていった理世。すとんと椅子に座れば、ベッドの淵に座る悟浄を直視できずに俯いて居た。
「…何?話って…」
「実は…その…」
「ん?」
「三蔵に呼び出されて…」
「ん…」
「悟浄との事…ばれてた…」
「そっか」
「・・・そっかって…え…?」
「まぁ、三蔵なら気づいてそうだけど…」
「ちょっと待って…、どういうこと?」
「だってよ?」
そういうと、よっと立ち上がり、理世の前に立てば髪をひと掬いして唇を寄せる。
「…俺だってもし仮に理世が三蔵とそういう関係になってたらよ、俺は理世や三蔵がなんも言わなくても『あー、こいつらそういう関係か?』って解るのと一緒だ。」
「だから……そっか…三蔵も言ってた…」
「ん?」
「煙草…」
「そういう事」
ニッと笑えば悟浄は膝をつくようにしてしゃがみ込んで視線を合わせる。
「…それとも、俺と同じ香りは嫌ってか?」
「…もっと同じでも…いい」
「おんやぁ?やけに素直じゃねぇの」
「…だって…」
「ん?」
首に巻き付く様に悟浄を抱き寄せればすんなりと理世の腕に入ってくる。
「…同じなら、同じだけ…一緒に居れたって事でしょ?」
「それもそうだな…」
「…ん」
「理世さ?」
「何?」
「俺の事、どう思ってる?」
「どうって…?」
「そのまんまの意味」
そういうとそっと体を離してじっとルビーアイが見つめてくる。