第47章 帰ってきた場所

『そういやさ？！』と悟空が突如口を開いた。

「理世！」
「ん？何？」
「悟浄がさ？！浮気したんだ」
「…はい？」
「ちょ、おま…！何言ってんだ！」
「だってそうだろ？」
「そういえば、してましたね」
「あぁ、してたな」
「あの、浮気って…？」
「こう…」

悟空が言いよどむかのようにもごもごしていると後ろから楽しそうに笑う八戒と、淡々と話す三蔵が口を開く。

「キス、ですね」
「それもこの村出てすぐの街でな」
「…はい？」
「ちが…！あれは」
「何が違うんでしょう…？」
「だぁってそうだろ、あれは」
「『あれは』っていう事はシたんだね？」
「理世！聞いてって」
「街出る出先にキスされてたな」
「…てんめ…ハゲ三蔵…！」
「事実だろうが」
「……ｯｯ」

その言葉で悟浄は口を濁らせた。

「…そうかもしれねぇけどよ」
「で？」
「はい？」
「私とのキスを早々にその見知らぬ女性とのキスで上書きしてそのまま旅を続けていったと、言う訳ね？」
「言い方えぐいだろって…」

そう話しだす二人を放っておいて悟空は『腹減った』と言い出し、食事に向かう事にした三人。

「先にいってますよ？」
「つぅか、聞いてねぇだろ。あれじゃ」
「…ですね、でもこの村なら理世のがよく知ってますでしょうし。行きましょうか」
「おぅ！！！」

その悟空の返事で三人は離れていく。しかし気に留める事も無いままに悟浄と理世は話を続けていた。

「…事故なんだって…」
「事故、ねぇ…」
「確かにキスっていうか…唇は触れたぜ？でもなんていうかよ？その、キスっていうんじゃなくて…」
「でもその前兆はあったんでしょ？」

そう詰めていく理世だった。