第42章 離れた初夜…
一本煙草を取り出してライターを取り出す。
「……ッッ」
たく、ガス欠かよ…そういや、前からそうだったか…
「おい、三蔵」
「…なんだ」
「ライター貸してくんね?」
「断る」
「……は?」
「貴様に貸す火はねぇよ」
「てめ…自分がねぇ時は俺から借りてってるくせになぁに言ってんだ」
「…ハァ」
ため息を吐きながらも三蔵は渋々、カチっと火を点けた。
「…わり、サンキュ」
「…・・あぁ」
「なぁ、…三蔵?」
「なんだ」
波珊に連れられて悟空と八戒は『探検だぁ!!』と部屋を出て行っている。その為、ココには俺とこいつしかいねぇ…
「…なんだ、言いたいことがあるならさっさと言え…」
「…理世の事よ、」
「…ぁあ?」
「好きなのか?」
「いう必要あるか?」
「そりゃあるだろうよ。一回くらいは腹割って話してぇとは思ってたからよ」
「…フン…」
灰皿にそっと灰を落とした三蔵。そのまま燻らせながらも俺の方に視線を向ける事をしないままに何かを言いたげだった。
「…で、貴様は何を聞きたい」
「結構よ、キス。…してんだろ」
「…それほどもしてねぇよ」
「少なくても二回はしてるだろ」
「…もう少ししてるがな」
「ぁ?」
「雨宿りのホテルとこの間の花贈の夜の二日だけだ」
「…ハァ…」
こうして聞けば…余計に悔しさにも似た感情がこみあげてくる…俺自身が聞いてんのに…
「それがどうした」
「…どうしたって…まぁよ、理世からも聞いてるから今更どうするってのもねぇんだけど…」
「なら聞く意味ねぇな」
「『意味ねぇな』…じゃねぇのよ」
そうだ…意味なんていくらでもある。理世からは聞いてる。でも、三蔵からは聞いてねぇんだ…