第39章 お使い、そして…

そのあとになぜか突如動きが止まったかと思えばシュン…っと姿を消したと言っていた…

「…なんで…？」
「解らん…ただ、何かしらの指令なのか…それとも…」
「それとも…？」
「新たな対象者を求めていったか…」
「…対象者って…ｯｯ」
「…あの様子じゃ行き来は簡単そうだからな…」
「もしかして…」

嫌な予感がする…これだけの人数で…それでもこのありさまで…
殺人マシンと呼ばれるほどに…強くて…

「恐らく玄奘い『沙烙…』…聞きたくないだろうが…」
「…なんで…」
「目標物…」
「え？」
「哪吒太子はそう言っていた。…目標物だと…人間と妖怪の区別はしっかりついている。それでいて妖怪の数を一瞬で把握した…その人数を目標物として狙ってきた。」

…目標物…？妖怪ってことは…

「恐らく、玄奘と悟浄は目標物対象にはならないかと思う。それでも…もしこの先…西の異変の関係で悟浄の血が半妖よりもっと濃くなっていった場合…目標物になりうる可能性は十分ある。」
「…ｯｯ」
「加えて言えば私にも言ってきた。」

そう言って沙烙は続けて話す。

「…人間は撤退か死か…どちらかを選べ、と」
「…そんな…」
「いくらあんな口調で言ったとしても、玄奘も見捨てる事はしないだろう？」

そうだ…三蔵は…そういう人だ…おそらく夢見がわりぃだの、後味わりぃだの言いながらも結局は見殺しにはしない人だ…

「…だとすれば恐らく…」
「全員が目標対象になるって事でしょ…？」
「あぁ。」
「…哪吒太子がどういった基準で選んでいるかはわからない…ただ、出会えばそうなる…」

冷たい汗が…背中を伝った気がした…