第35章 もう一人の三蔵
「三蔵?いいんでしょうか?」
「いいも何もねぇ。このままじゃ俺らが寝れねぇ」
「…それもそうですが…」
「なぁなぁ、三蔵?」
「なんだ」
「理世にここで待っててもらうんだよな?」
「…待つかどうかはあいつ次第だがな」
「…また、帰ってこれるよな?」
「生きてりゃな」
「…ん、解った。」
そう話せば夕食までの間、あれこれと今後の話をして居た三人だった。
「…でもさ、この話って…悟浄にしなくてもいいの?」
「そうは言っても、ココでの話し合いなんて、大したことないですし」
「ならする必要あんのか」
「道のりとか、そういうのは確認しといたほうがいいじゃないですか」
「それもそうなんだが…」
「なぁ、三蔵」
「却下」
「えぇ?俺まだ何も…」
そう言い終わるが早いか、悟空の腹の虫がグゥゥ…と声を上げるのだった。
一方の悟浄と理世はといえば…
部屋に入り、ガチャリと鍵を閉めれば先に入った理世を後ろから抱きしめた。
「…悟浄…」
「ん?」
「相談もなく勝手に決めてごめんね?」
「勝手にってわけでもねぇだろ。三蔵から聞いてたことだ。」
「…そうなんだけど…相談しなかった理由って聞かないの?」
「んー?」
抱きしめた腕を緩める事も無いままに悟浄は首筋に唇を寄せつつもどことなく甘い返事をする。
「…悟浄に相談したら…その間に決断鈍りそうだったから…」
「なんだそりゃ…」
「だって…こんなに好きなのに…離れる決断するんだもん…」
「理世…」
「本当は…ほんとはどこまでも一緒に居たかった…でも…こんなの困らせるから…」