第32章 迷いと道
「なんにせよ、あまり負の波動が近くないところまでで安全な場所があればいいのですが…」
「…魔物に襲われたことのない街と言ってもいつどうなるかはわからないってのもあるしな…」
「…えぇ。」
「…おい」
「んぁ?」
「…それで結局お前にその覚悟はあるのか?」
「…覚悟って…」
「ねぇのか」
「あるよ…、終わった時に俺の事を待っててくれてたらそのあとはずっと一緒に居る…」
「…フン…」
そう答えを聞いて三蔵はフッと視線を下げた。
「…というと僕は振られた側って事ですね?」
「変なこと言うんじゃねぇよ」
「…だってあなたがいないんじゃ、独り身ですよ?僕。三蔵の監視期間も終わるでしょうし」
「そうだなぁ…」
そこから先はこれといって深く話が掘り下げられることも無いままに気づけば皆、眠りについていた。
***
翌朝、目を覚ました一行は次の街へと向かっていく。妖怪たちに襲われることも無いままに次へ…次へと順調に旅路を進んでいった。
そうして花贈をした街から5つ目の街に着いた時。
「それじゃぁ、今日の宿ですが…」
いつも通りに宿決めをし、シングル3部屋にツインが1部屋とれた。
「…こっち、もらっていい?」
「そのつもりの部屋とりだろうが、どう見ても」
「ですね…」
くすくすと笑いながらも悟浄と理世が同じ部屋のツイン。他の三人がそれぞれシングルを持っていく。
「やっりぃ!!一人部屋!!」
「それじゃぁ、食事なのですが…」
そう言いかけた八戒の言葉が一瞬詰まった。
「…どうかした?八戒」
「いえ、…夕飯ですが、18時頃に宿の前に集合でいいですか?」
「オッケー」
そう返事をしてそれぞれ部屋に入っていくのだった。