第32章 迷いと道
「あ、あの…!大丈夫?!」
ガサっと理世が姿を見せた。その瞬間に四人の顔に少しだけ笑みが浮かんだ。
「…大丈夫だったんですね…」
「巻き込まれてなくてよかった」
「…死んでなかったか。」
「三蔵…一人口悪い…」
そう言いながらも三蔵の手にある昇霊銃を見つめた理世。
「…それ…」
「ぁあ?」
「…なんでもない…」
「言いたいことがあるなら言え」
「さっきの子に…最後撃とうとした?」
「あぁ。やらなきゃ俺がやられる」
「…ッッ」
「とはいってもギリギリまで三蔵危険でしたしね」
「うるせぇよ」
「理世、あの方達、一応敵さんなんですよ」
「…へ?」
そう八戒が言い出したことで理世の顔は一気に血の気が引いていく。
「ほら、いつもたくさん妖怪が襲ってくるでしょう?三蔵のファンクラブの様に」
「うん」
「おい…納得するんじゃねぇよ」
「まぁまぁ、その一番の司令塔というのが、悟空とやり合っていた紅孩児さんです。」
「…うそ…」
「本当です。で、その仲間たちというのが他の三名です。」
そう聞いて小さく震えだした手をきゅっと握りしめている理世。それに一番早く気付いたのは三蔵だった。トン…っと悟浄の肩を叩いて知らせれば、クシャりと前髪を掻き揚げて悟浄は戸惑いつつも理世に近付いた。
「…大丈夫だ。次いつ来るか解らねぇけど…」
「…ん、大丈夫…ごめん…なんか…気弱になっちゃってて…」
そう伝えるときゅっと悟浄の服の裾をつまむ様にして握っていた理世。そんな相手の頭をポン…っと優しく撫でればジープに変わった白竜に乗り込んだ一行。横に座ったまま、変わらずに服を掴んでいた理世の手を掬い取れば悟浄は指を絡め、宥める様に繋いでいるのだった。