第31章 嫉妬
♢ Side 悟浄 ♢
すっげぇ嫌だった…
三蔵の横で…三蔵の元で…あんな格好でずっと横に居て…見てないって言っても視界には入るだろうし…
ただでさえ三日間は野宿だった…
それでやっと宿にありつけて…なのに…
お人好しの理世の事だから放っておけなかったのは解る…だけど…思っていたのと明らかに違うしよ…
『あの二人、今夜…夜伽が待ってんだぜ…』
あの時の男の言葉がずっと頭をめぐっていた…忘れたかった…殴り込みに行きたくて…返してほしいって…でもそれを八戒に止められて…
「三蔵は抱くことはないでしょうから…」
「そうは言っても…」
「三蔵の事ですから…信じましょう…?」
そうは言っても…
前に雨宿りって言ってもラブホに入って…キスしてんだろ…それなのに…あんな格好の理世がずっと隣にいて…それでいて…
「…床が一つなんだろうがよ…」
夜伽が待っている…それを街のただの男が知ってるって事は…『そういう事』だ…
それに…三蔵だって…男だろうが…
「クソだっせぇ…嫉妬かよ…」
どうしても…三蔵と理世の事を信じてぇのに…
好きだって言ってくれたあの声を…あの顔を…理世自身を信じてやりてぇのに…
器がちっせぇ…
今まで俺がナンパしても、不特定多数と関係を持とうと理世は怒らなかった…なのに…
相手がよく知ってるやつだからか…?
それとも俺が心が…ただ単に小せぇからなのか…
「…早く…戻ってきてくれよ…」
そう願って…いたんだよ…なのに…帰ってきた姿見たら…止められなくなっちまうなんてな…
「…理世……ーーー愛してる…」
初めて俺は…理世にそれを伝えていた…