第27章 ぶつかる本音
八戒の部屋を出て理世は悟浄の部屋の前に戻っていた。しかしなかなかノックも出来ない。
「…許してもらえないかもしれないよな…」
そう呟いて、俯いてしまう。その時だ。
ガン…!!
思い切り開いた扉。不意打ちの様にぶつかったため、理世は座り込む。
「…いったぁぁい…」
「わり…!って…理世?」
「もう少しゆっくりと開けるとかって優しさはないのぉ?」
「なんでんなとこにいるんだって…」
「それは…」
「まぁ、ちょうどいい。中入れよ」
額をさすりながらも理世は悟浄の部屋に入る。椅子に座らせて前髪を上げ、傷になっていないかを確認した悟浄ははぁと小さくため息を吐く。
「…傷にはなってねぇよ。よかった」
「…ん…」
「で?なんであんなとこにいたんだよ」
「居たらだめだった?」
「だめっつぅか…出てったのは理世だろうがよ」
「そうなんだけど…だけど…」
「んー?」
しゃがみ込んで見上げる格好の悟浄の首にきゅっと巻き付いていく理世。
「…って、おい!っぶねぇ…」
後ろに倒れそうになるものの、ギリギリのところで堪えた悟浄。
「…ごじょ…ごめんね?」
「なぁにがよ」
「…だから…バカって言って…」
「今更、だろ、んな事」
「人が良くバカバカ言ってるみたいに言わないで…」
「んな事言ってねぇだろうがよ」
「…ッッ」
しかしやはり喧嘩になりかける二人。それでも今回ばかりは理世は引くことはなかった。
「…うまく言えないけど…でも私が好きなのは悟浄なの…ナンパしてても、他の子を目で追いかけても…それでも好きなのは悟浄なの。重たいなら重たいって言ってほしい。好きでいいって言われたら…やっぱり好きな悟浄でいてほしい。」