第23章 葛藤と嫉妬
それから何事もなかったかの様に悟浄と理世は宿に戻ってくる。
「…そういえば…悟浄?」
「ん?何…」
「さっき、私がナンパされたときって…もしかして妬いてくれた?」
「…・・・」
ぎゅっと後ろから抱きしめれば、悟浄の髪がさらりとかかる。
「…悪りぃか…俺だって…嫉妬くらいはする」
「なんでよ…クスクス…」
「…なんで、じゃねぇっつぅの。勝手に人の女に触られてみろ…嫉妬するだろうが…」
「それって…私だけかと思ってた。」
「…ひでぇな…人じゃねぇみたいな言い方…」
「そんな事はないよ…ただ…」
「ただ?」
「・・・悟浄だから…」
そういわれた意味がはじめは解らなかった。それでもすぐに理世は付け加える。
「…悟浄、ナンパ結構するから…それで軽いノリみたいなものって解ってるはずだから…それであんまりそういうのでは妬いたりしないかなって思ってた。」
そう言いながらも理世は少し背伸びをして悟浄の首に巻き付けば、耳元に唇を寄せる。
「好きなのは、悟浄だから」
そう言われれば悟浄は敵わねぇの…と呟いていた。