第21章 スキを形にして
「…ん?あに?」
『何?』と言いたいのだろう理世は悟浄の横顔を見た。
「…ん?何?」
「何って私が聞きたいんだけど?」
「なぁんでよ」
「…だって…ずっとじっと見るから…」
「・・かわいいなぁって思ってよ?」
「うるさい…」
先にカラン…っと歯ブラシを置いて終えた理世だったものの、行く手を阻む様に壁にもたれた悟浄は足をトンっと洗面台に当てている。
「…あの、長い脚が邪魔ですけど?」
「長いって言ってくれんの?」
「そりゃもうながぁい足がお邪魔です」
「そんなに邪魔邪魔いうなって…」
歯磨きを終えた悟浄もカラン…っと歯ブラシを置く。
「…抱っこ、してやろっか?」
「大丈夫でーす」
「そこ拒否るトコかよ」
「どーいーてー」
「はいはい。」
そうして追い超す理世の背中をぐっと抱き寄せた悟浄。そのまま動けなくなる様に抱きしめたままいた。
「…悟浄?」
「なぁによ」
「離して?」
「お断りだ」
「だって…そうしないと…」
「んー?」
「私も悟浄にぎゅってできない…」
「そういう事?」
納得したかの様にそっと腕を緩めればゆっくりと体の向きを変えて理世は悟浄に巻き付いた。
「…悟浄…お」
「…んー?」
「離れたくないなぁ…」
「言っとくけどよ?離さねぇよ?そう簡単には、よ」
「そうなの?」
「おう」
「…悟浄…」
「ん?」
「…・・・シよ?」
そう突然言われたものの、『そのつもりだけど?』と返した悟浄。ゆっくりと抱き上げてベッドに戻っていく。
「…あー、」
「何?」
「…ん、なんでもね」
「そう?」
「大したことじゃねぇ」
「何よ、なんか気になる」
「……・・ゴムがねぇや」
「…クスクス…いまさら…」
「んだな」
「…もしかして、気にしようとしてくれた?」
「…まぁ、一応?」
「そういえばあの子との情事にもゴムなしの予定だった?」
「ま、一応そういうホテルだし?」
「そういうって…」
「ラブホテル」
「…あるか…」
「ま、どうでもいいわ…今から理世抱くのに、他の子の事はどーでもいい」
そう言って悟浄はするりと頬に手を滑らす。