第20章 気付いた恋心
「人聞きの悪い事言わないでくれませんか?」
小さく笑いながら八戒はそれじゃぁ…と言って眠りにつこうとしていた。
「…全く」
自分の思い過ごしなのか…?そう悟浄は思いながらも自身の中にあるなんとも言えない思いと気持ちがぐるぐると渦巻く中、自身の左肩には理世の寝息がすーすーと心地よく聞こえてくる。
「…やべ…」
少しだけ元気になってきてしまっている下半身に、心を無にして悟浄も目を閉じるのだった。
***
翌日、昼過ぎには次の街に着いた。
「あっれぇ、なんかすっげぇにぎわってんな!」
「そうですね、って悟空?一人で行かないでください?!」
「だって!めっちゃうまそうなにおいするんだぜ?」
「チッ…クソ猿」
「まぁまぁ、三蔵。先に…」
「飯!!!」
「だそうですよ。」
「頭ん中食う事しかねぇのかよ」
「貴様の中よりはよっぽどいいな」
「…うっせぇ、チェリーちゃん」
「・・何か言ったか?」
「い、…いえ…」
明らかに不機嫌になった三蔵に対してへらっと笑う悟浄。しかし理世は街のあちこちにある垂れ幕に気づいた。
「…お祭り…」
「はい?」
「お祭りだって、ここ!」
「へぇ、お祭りですか」
「三蔵!」
「却下」
「まだ何も言ってない」
「…知らん」
「むぅ…」
しかしそんなやり取りを聞きながらも目を細める悟浄。
「…とりあえず食事を摂りませんか、このままでは本当に悟空が迷子になりかねません」
「…あぁ」
そのまま悟空を呼び、一緒に食事処に向かっていく。
「…いらっしゃい!」
「五人だ」
「五名様ですね!空いてるお席にどうぞ!」
促されて全員で席に座る。
「…旅の方?」
「えぇ、そんなところです」
「ここの星見祭りに合わせてきたのかい?」
「ほしみ…まつり??」
「おや、その様子じゃ知らないみたいだね!」
そうしてお店のウエィトレスの女性に話を聞いていた。