第4章 4
骨が飛ぶ。
その間隔に迷いはない。タイミングも、角度も、全て計算済み。
サンズは一歩も動かない。
空間そのものが彼の指先で動いている。
PRAYERは、逃げている。
魔法の間をすり抜け、跳ね、転がる。
それでも一発一発、確実に体力を削られていく。
叫びがあっても、攻撃は止まらない。
感情がぶつけられても、意味はない。
サンズにとっては無価値なノイズ。
重力反転。天井へ押し上げ、浮かせたまま、四方からBlasterが展開。
撃ち落とすための、整った陣形。
サンズの目は細められているが、感情はない。
何も思っていない。何も考えていない。
ソウルが淡く輝きながら、PRAYERが必死に防御を試みる。
でも、サンズの攻撃は“習慣”のように精確で、止まらない。
またBlaster。また骨。回転式の弾幕。
空間全体が罠に変わる。
PRAYERが転んだ瞬間、下から骨の地雷が起爆。
一気に体が跳ね上げられ、空中に浮く。
サンズは指先を動かす。
ひとつ、ふたつ。Blasterが真下から浮上する。
「終わり」
静かな声。
だが、感情も確信も込められていない。
ただ、状況報告のように。
Blasterが口を開く。
撃つ。
閃光。
骨が静かに収束し、光が消える。
戦闘終了。ソウルの輝きも、何も残っていない。
サンズは何も言わず、その場に立っている。
勝ったとも思わない。終わったとも感じない。
ただ、次の作業が来るまで、静かに目を閉じた。