第19章 battle16…鍵の在処
「……クスクス…」
「八戒、そんなに笑ったら悪いって…!」
「いや…てか……」
「前にも似た様な事無かったっけ?」
「なぁにやってんだかなぁ。」
むぅっと膨れている雅。嬉しそうに笑う三人。そうこうしつつも八戒は話し出す。
「雅さん?」
「はい…?」
「あなたのその曖昧になってる記憶の一部、取り戻したいと思いますか?」
「…ん、でもそれってすごく難しいから…」
「知ってるんですか?方法」
「ん……」
そう言うと俯いてしまう雅。そんな雅に悟空は声をかける。
「なぁ、それってどうやんの?」
「え…?」
「だから。すっげぇ難しいって言っても一人だから難しいんじゃなくて?」
「……そうなんだよ…たった一人……何だって…」
「え?」
「私が記憶をなくす直前に想った人に、私が伝えたかったことを言ってもらう…それだけみたいなんだけど…」
「…それって……」
「ん。八戒さんの想ってるのと同じだと想う。少しのブレも許されなくて…ね、難しいでしょ?」
そう言うと少し寂しそうに笑っていた。
「難しいのか?それ…」
「悟空さん?」
「だって…『少しは黙ってろって…』……なんだよ!」
「すごく難しいよ…私は誰を想い描いたのか解らないし…その時何を想ったのか解らない。例えば八戒さん相手だとしても、私が好きだなって想ってたとしても八戒さんが私の事好きと思っていなければその言葉は聞けないし。例えば、悟浄さんに好きだって想ってもらえてても、私が苦手だと想ってたとしたら食い違うでしょ…?」
「おいおい……」
「その人が誰かも解らないし、もしかしてもう会ってるかも知れなくても、記憶が無い以上飽きられちゃってるのかも知れない。」
「雅……」
「だから、もしかしたらもう二度と記憶の蓋、開かないかも知れない…でもね、もしかして、開くことがあったら…もう一回、想うだけじゃなくてちゃんとその人に伝えたい…そう思うの…」
そう自身の思いを伝えた雅。
「あ、ごめんなさい…私話しすぎて……」
「良いんですよ…それで…あなたのさっき言ってた鍵……なんで知ってるんですか?」
「あ……それは…」
「…それは?」
「……秘密」
「ま、言えない事もあるよな」
ふっと笑う雅それから少し話をしてその夜はお開きになった。