第15章 battle14…懐かしい空間
雅と別れたあと、宿屋に戻る道中で八戒はクツクツと笑いをこらえていた。
「…何がおかしい」
「だって……僕にはずっと敬語なのに…三蔵には敬語無くなるんですから…」
「…全くだな…」
「雰囲気、変わってないですね…雅」
「……そうそう変わらねえだろうが…」
「違うとすれば敬語くらいで…それでも、僕は安心しました。」
「変わらなさすぎだろ…それにしても…」
「でも、嬉しかったんでしょ?」
「何がだ」
「……ほら、『三蔵』って呼ばれて…」
「……」
「僕の事も名前聞いてるはずでしょうに。それに助けを求めるなら僕なら目付きの悪い方よりも優しい穏やかな方がいいですけどね…?」
「悪かったな…目付き悪くて…」
「いえ、そういってるんじゃないんですけど…」
そういいながらも間違えることも無く雅だと言う確信を持った二人。
「それにしても、一途ですね…」
「誰がだ」
「雅が、ですよ。」
「フン…」
「記憶の片隅に何かしらあるのかも知れませんね」
「なんでそんなことが言える」
「だって…普通なら、ほぼ初対面の人とシェアなんかしませんよ?それもマグカップ」
「……」
「そりゃ、あなたは雅の事知ってるので?普通に出来るのかも知れませんが」
「それでお前は飲まなかったのか?八戒」
「いえ、それとは別問題です」
そういうとくすりと笑って空を見上げながら言葉を紡いだ。
「…烏龍茶にミルクは…さすがに僕的には未知すぎるので…」
「あれはあれでうまかったがな」
「三蔵の味覚オンチと一緒にしないでください。」
「それ、今度会ったら雅にも言っておけ」
「嫌ですよ。僕、嫌われたくないので…」
「…そうかよ」
そう珍しく会話が途切れること無く話しながら戻っていった。