第2章 scene2…菩薩の命(めい)
「よ、待たせたな」
「菩薩さん……」
「フ…菩薩でいい」
「……でも」
「構うなよ。」
そういいながらもゆっくりと近付く菩薩。後ろに居る二郎神も部屋の中には入ってこなかった。
「…それで、今から、雅に重大任務を与える。」
「……任務…?」
「あぁ。」
「それって…すごく危ないこと…ですか?」
「危ないっちゃ危ねえな」
「……なんでしょう…」
「俺の暇潰しの相手になれ」
思いもよらない任務だった。
「…あの」
「聞こえなかったか?」
「や、そうじゃなくて…」
「それとも不満か?」
「違うんです!あの…」
「それからその敬語、今後一切なしな」
そんな会話を頭を抱えながら聞いている二郎神。
「…菩薩さん…」
「十点減点」
「…へ?」
「給料に響くからな?」
「ちょっと!!」
クツクツと笑う二郎神はどうにも笑いが押さえきれなかった。
「おい、なに笑ってんだ、二郎神」
「いえ…」
「思いっきり笑ったろうが」
「そうは言いましても……」
「まぁいい。いいな?明日から暇潰しになってもらうぞ?」
「暇潰しって……なにしたら…」
「なんでもいいよ」
「…そういうの一番困る……」
「困ればいいさ」
「……案外意地悪ですよね……」
「敬語」
「……ッッ…」
「なにか解らないことがあれば二郎神に聞け」
「…はい」
そういって雅の前に立つと菩薩はそっと頬を撫でた。
「オレのわがままに付き合わせて悪かったな」
「え?」
「…なんでもねえよ…」
そう言い残して雅の前から去っていった。