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ツンデレ王子と腹黒王子

第10章 本当は


「ん…」


目を覚ますと、見慣れない天井が視界に入った。

ここ、何処だ…。

起き上がり、周りを見渡す。


「保健室…?」


何で、保健室何かにいる?

あぁ、そうか、俺倒れたんだ。

倒れる前にあったことを思い出し、天井を見つめた。


「今何時だ…?」

「あ、起きたんですね。ちなみに今は放課後ですよ」


声のした方を向くと、そこには杉山が立っていた。


「杉山、何で…」


俺の問には答えず、ベッドの横の椅子に腰かける。

何分ほど経っただろうか。

いやもしかしたらものの30秒しか経っていないかもしれない。

沈黙が妙に緊張感をひき出す。


「三好先輩」


杉山の小さな声が、沈黙を破った。


「僕、完全に振られちゃいました」

「え…」


悲しそうに微笑む杉山に驚く。

こいつも、こんな風に笑うのか。


「諦めることにしました。このままでは、無駄な恋をするだけだって悟りましたよ」


こんな弱気な杉山、初めて見た。

いつもはもっとガツガツ来るのに。


「三好先輩、貴方は、隼人先輩のこと好きなんですか?」

「!」


顔が熱くなる。

俺はそれを隠すようにうつ向いた。


「あぁ…」


小さく呟くと、杉山は「ぷっ…」と吹き出した。

何だ、何が可笑しいんだ?

戸惑っている俺を見て、杉山は笑いながら言う。


「いやですね、隼人先輩が三好先輩に惚れたの、分かった気がしたので」


未だに腹を抱えて笑ってる杉山。

俺はそれをよそに考えた。

そう言えば、俺の何処が好きなのか聞いたことないな。

それに俺も、何処が好きなのか分からない。

いつの間にか、好きになっていて、それで…。

また顔が熱くなった。

そんな俺を見て、杉山は小さくため息をつく。


「隼人先輩も言っていましたけど、三好先輩もっと警戒心持ってくださいよ。顔とか、体とか、すぐ襲われる要素たっぷりですからね」


俺は「どう言う事だ?」と言うが、杉山は笑うだけで答えてはくれない。

自分で考えろ、と言うことなのだろうか。

俺はこれ以上追求しても言ってくれないと判断し問うのをやめた。

そう言えば…。


「お前って、どうして野木のこと『隼人先輩』って言ってるんだ。幼馴染みなのに」


何て、どうでもいい疑問が浮上してきた。
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