• テキストサイズ

ツンデレ王子と腹黒王子

第10章 本当は


杉山は一瞬驚いた様な顔をしたが、昔を思い出す様に目を閉じた。


「僕と隼人先輩が初めて会ったのは幼稚園の頃で、隼人先輩、『先輩』って呼ばれるのが夢だったらしく、『俺のことは隼人先輩と呼べ!』と言って、それからずっとこれなんです」


昔の野木を想像すると、自然と笑みがもれた。


「そうだったのか…」


子どもだな。

まぁ誰でも1度は憧れるものだと思うが。


「あ、もう5時ですね」


杉山が自身の腕時計を見て呟いた。

すると立ち上がり、俺の荷物らしきものを手に取り俺に渡す。


「時間です。教室へ行ってください」

「え、何で…」

「いいから行ってください!隼人先輩が待ってるんです!」


その言葉にドキリとした。


「自分の気持ち、ちゃんと伝えてあげてください」


その後のことは、よく覚えてない。

ただ走って、急いで教室へと向かった。

保健室では、杉山が涙を流し、「頑張ってください」と呟いていた。





俺の今の気持ち。

うまく伝えられるだろうか。

逃げ出してしまうかも知れない。

いや、大丈夫。

春樹に、杉山に背中を押してもらったんだ。

逃げちゃダメだ、向き合おう。

もしかしたらあいつは、俺に呆れ返っているかも知れない。

でも、伝えなきゃ。

後悔はしない。

伝えよう、俺の想いを…。
/ 132ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp