第10章 本当は
下駄箱の前までつき後ろを振り返る。
野木は追いかけて来ていない様だ。
ほっと息をつき、呼吸を整える。
落ち着いてから靴を履き替え、玄関を出た。
周りには生徒はいない。
俺は早足で校門を出ようとした。
だが目の前に、スーツを着た男数人が立ち塞がっていた。
「あ、あの…?」
「三好貴夜さんですね」
「そうですけど、何か?」
俺がそう言ったとき、男たちは顔を見合わせ合図を送る。
真ん中にいた男は俺に向き直り口を開いた。
「少々強引ですが、同行してもらいます」
俺がその言葉を理解する前に、2人の男に後ろで手首を縛られてしまった。
「ちょ、何するんですか!?」
抵抗するがそれも虚しく、体を軽々と肩に担がれた。
「は、離せ!やめろ!」
足をばたつかせ攻撃するが、男はそれを意にも介さず進んで行く。
くそ、どうすれば…。
考えるが何もいい案が浮かばない。
とりあえず叫ぼう!
そう思い叫ぼうとしたとき、他の男に口をガムテープで塞がれてしまった。
「んー!」
何てやり方だ。
と言うかこいつら誰なんだよ。
連れ去られる意味も分からない。
懸命に攻撃する。
だがそれも無駄な抵抗で、諦めてかけていた時。
「おい、貴夜を離せ!」
俺を担いでいる男に体当たりをかましたのは、春樹だった。